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民事再生法を申請するゴルフ場の急増、預託金のカット、外資系企業によるゴルフ場の買収といったものが急増している。
「平成の徳政令」ともいわれる民事再生法は平成12年4月から適用されているが、「ゴールデンウイーク明けには東京地裁に申立ての列ができる」といった噂が流れた。
10月までの半年間で20社近いゴルフ場運営会社が再生法申請を行っており、最終的には400コース程度が再生法申請を行うのではと見られている。
ゴルフ場(運営会社)の経営不安説は、それ以前からいくつもが流れ、「あなたのゴルフ会員権は大丈夫?」といった雑誌記事がよく見受けられてはいた。
これらは平成9年末のゴルフ場最大手である日東興業の和議申請に端を発していると言われている。
業界全体からみると、「あの日東ですら経営破綻したのだから」という面は拭えないだろう。
このゴルフ場破綻の背景の一つに「預託金問題」がある。
メンバーシップのゴルフ場では、会員から多額の預託金を集めている。
本来預託金はゴルフ場建設資金等に用いた後、10〜15年の期間経過後償還期限が来ると、退会者に返還するものである。
本来一度に多額の返還は考えにくいものであったが、ゴルフ会員権市況が低迷する中、会員権価格が預託金価格を大幅に下回っているゴルフ場も多く、返還請求権行使が相次ぐことが予想され資金がショートするコースも当然出てくる。
この償還期限が平成12年前後というゴルフ場が数多く存在し、通産省調査によると預託金総額が推計で10兆8033億円、このうち1兆6161億円が平成12年償還と見られている。
ゴルフ場は、その運営形態によりメンバーシップ(会員制)とパブリック(非会員制)に分けられる。
メンバーシップゴルフ場にはその名の通り、会員権制度があり、このうちの多くのゴルフ場が預託金制となっており、会員は多額の預託金をゴルフ場運営会社に預けている。
メンバーシップゴルフ場はこの預託金が存在することより、コースやクラブハウスに多額のコストがかけられ、パブリックゴルフ場に比べると施設面では優れている。
しかし、預託期間は10年が多く、ちょうど平成初期に多数作られたゴルフ場の預託金の返還請求権行使時期がやってきた。
かつてであれば何も皆がこぞって預託金の返還を迫ることはなかっただろう。
しかし、ゴルフ会員権相場は一部で復調の兆しがあると言われているものの、不動産と同様に長期低迷となっている。
この状況では預託金返還請求の殺到は当分続こう。
こうしたなかで最近、経営破綻したゴルフ場、あるいはゴルフ場を担保にとっている貸出債権の売買が活発に行われるようになってきた。
「ある外資系のファンド会社ではAというゴルフ場を担保にとっている貸出債権を集中的に買い漁っている」、「ある投資会社では民事再生法申請を見据え、ゴルフ場の購入に乗り出している」といった話をよく聞くようになった。
では、実際に彼らはゴルフ場あるいはゴルフ場運営会社の価値を一体どのように考えているのだろうか。
市場関係者にヒアリングすると、コストを200億以上かけたゴルフ場が、わずか10億(あるいは数億円)で売却されたといった話を聞く。
ゴルフ場は債権者が多く、簡単には流動化できない。
競売をかけるとしても、ゴルフ会員権所有者という多数の一般債権者がいることにより、なかなか競売申請までこぎつけないともいう。
一部の会社で競売申請を行った後、会員には優先利用権があり、通常は会員本人、または、同伴・紹介が必要となるが、最近はこのような制限が少なくなりつつある.会員権の種類には次の4つがある。
会員は株主としてコースに出資し、コースへの経営参画を行う。
た場合には、出資比率で分配をうける。
メンバーシップゴルフ場で最も多いパターンで、会員は10〜15年といった期間、預託金をコースに預け、それを資金にコース建設を行うもの。
償還期限後は退会すると預託金が戻ることになっているが、コースの経営不振からっては返還が受けられないものが出てくるといわれている。
優先利用権の会員制度がなく、誰でも利用できるもの。
西武(コクド)グループのゴルフ場はパブリックゴルフ場の典型例である。
このほか、セミパブリック形式というものもある。
これは登録料を支払うことでプレーフィーが割引になるもので、優先利用権はない。
会員権者が本社の前でデモ行進を行って以来、競売に踏み切る例は少ない。
最近は和議申請をしたゴルフ場運営会社の経営陣に対し会員側が不信感を抱き破産申請を行うという例も出てきている。
これは、破産確定後、会員側が競売申立てをし、会員が出資して設立した新会社に落札させ、再運営を図ろうとするものである。
栃木県の大金ゴルフクラブがこのケースに該当し、競売の最低売却価格は32億円であった。
会員にとって最大の関心事は預託金とプレー権である。
このうち預託金については、経営破綻に陥ったコースの場合、カットなしの全額返還は考えにくい。
するとプレー権だけは何が何でも死守したい。
担保権者から競売にかけられ第三者の手に渡ってしまうと、プレー権すら消滅してしまいかねない。
ゴルフ場の債権を多く抱える整理回収機構(RCC)も、担保であるゴルフ場を競売により処分するとプレー権が消滅しかねないので、競売以外の手段による回収を考えていると聞く。
外資系の投資会社等がゴルフ場債権を購入した場合も、同様で競売ではなく、民事再生法等を利用し、会員のプレー権は維持しながらも債権カット(会員にとってみると預託金カット)により、再生させるスキームを考えているようだ。
このような状況下でゴルフ場の経済的価値を何で決めているのだろうか。
少し検討してみたいと思う。
ゴルフ場を「不動産」と考えると、不動産の評価の基本形ともいえる費用性・市場性・収益性の価格三面性を前提に原価法による積算価格、取引事例比較法による比準価格、収益還元法による収益価格の三手法による価格をもとに求めるべきであろう。
もちろんゴルフ場売買の事例を多数収集し、その取引事例価格から比準価格を求めることは非常に説得』性が高く、理論的には可能と思われるが、現時点では売買事例価格に関する情報は少ない。
したがって、3手法のうち原価法・収益還元法に依存度が高くならざるをえないのは致し方ないことと思う。
では、2つの手法のどちらを重視すべきだろうか。
積算価格が妥当といえるかいうと、現経済環境下では積算ベースで市場が動くことは想像し難いことから残念ながら「ノー」と言わざるを得ない。
本来、ゴルフ場は営業物件(収益物件)であるから、評価を行うにあたってはゴルフ場の持つ収益性を重視すべきだと考える。
したがって、収益還元法による収益価格を最重視すべきであろう。
しかし、現実のゴルフ場を見ると必ずしも収益性が高いとは言えず、また営業赤字のゴルフ場も多い。
実際に収益価格を求めると、原価法による積算価格に比べて非常に低位に求められる。
100分の1はザラで、収益価格が求められない(収益価格がマイナスになる)ものも考えられる。
だが、営業利益がマイナスなら価値もマイナスと言いきれるものではないのも事実であり、これを解決するための検討が必要である。
ここでは、まず積算価格・収益価格それぞれの特徴を見てみよう。
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